人中ボトックスは上唇挙筋への注入で人中の見かけ短縮効果を狙う施術で、効果の出はじめは2〜7日、持続期間は3〜6ヶ月程度です。
人中ボトックスは上唇を持ち上げ、人中を視覚的に1〜2mm短く見せる施術。注入量は2〜4単位、持続は3〜6ヶ月です。効果は2〜7日で実感し始め、最大効果は2〜4週で現れます。人中切開術と違ってダウンタイムがほぼなく、効果が消えれば元に戻る可逆性が特徴。ただし変化は控えめなので、しっかり短くしたい方には手術も選択肢に入ります。
参考:PubMed掲載論文・PMDA資料・症例報告(編集部整理)当編集部の料金調査(2026年4月時点):主要美容クリニック12院の人中ボトックス公開料金を編集部で整理したところ、アラガン社製ボトックスビスタ®の中央値は¥16,500、レンジは¥11,000〜¥22,000でした。韓国製ボツリヌストキシン製剤のレンジは¥4,980〜¥14,300で、最安値と最高値の差は約4.4倍に達しています。一般的な施術相場は¥20,000〜¥30,000とされる中、大手クリニックでは¥16,500台での提供も確認できます。価格差の主因は、製剤グレード(厚労省承認品 vs 自由診療用)と注入医のキャリアです。
人中ボトックスは鼻下〜上唇間の上唇挙筋複合体へボツリヌストキシンを注入し、筋収縮を一時的に抑制することで上唇を相対的に持ち上げる施術です。人中ボトックス完全ガイドで施術全体の概要を確認できます。
注入対象筋は主に3つあり、筋肉のつき方によって注入する場所を調整していきます。
| 注入対象筋 | 作用 | 標準単位数 |
|---|---|---|
| 上唇挙筋(じょうしんきょきん) 上唇を引き上げる筋肉 | 上唇全体を上方挙上 | 1〜2単位×左右 |
| 上唇鼻翼挙筋(じょうしんびよくきょきん) 小鼻と上唇を引き上げる筋肉 | 鼻翼〜上唇の上方牽引 | 0.5〜1単位×左右 |
| 口輪筋(こうりんきん)上部 唇のまわりを囲む筋肉 | 上唇外反増強(リップフリップ:上唇を軽く外側へめくる) | 1〜2単位 |
押さえておきたいこと:注入総量は2〜4単位が一般的で、これ以上の単位では上唇下垂・笑顔のひきつり・発音障害のリスクが高まります。口角ボトックスの効果と異なり、人中ボトックスは「単位を多く入れれば効果が増す」というわけではありません。
人中ボトックスの効果を理解するには、まず上唇挙筋(じょうしんきょきん)という小さな筋肉の働きを押さえておきましょう。この筋肉は鼻の付け根から上唇に向かって走っており、笑顔の際に上唇を引き上げる役割を担っています。人中(鼻と上唇の間の溝)の長さに見える違いは、この上唇挙筋の緊張度合いに大きく左右されます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 正式名称 | 上唇挙筋(じょうしんきょきん) |
| 位置 | 鼻翼基部から上唇に向かって走行 |
| 主な働き | 上唇を引き上げる・人中を縦に伸ばす |
| 支配神経 | 顔面神経頬筋枝 |
| 注入対象 | 左右1対の上唇挙筋+鼻翼下部 |
| 標準注入量 | 2〜4単位(左右合計) |
人中が長く見えるのは、上唇挙筋が常時やや緊張気味で、上唇が下方向に引っ張られた状態が続いている場合が多くみられます。ボツリヌストキシンを少量注入することで筋肉の緊張がやわらぎ、上唇が自然な位置に戻り、見かけの人中が短く見える、というのが基本メカニズムです。
「短くなる」のではなく「短く見える」が正確な理解:人中ボトックスは骨格や軟組織の長さそのものを変えるわけではなく、上唇の位置を上向きに整えることで人中が短く「見える」 ようにする施術です。永続的に骨格を変える人中切開術とは作用機序が異なるため、効果には限界があることも理解した上でご検討ください。
人中ボトックスで使用される製剤は、欧米製(アラガン社ボトックスビスタ®) と 韓国製ボツリヌス製剤(ナボタ®・ボツラックス®等) に大別されます。料金差だけでなく拡散範囲・持続期間にも特徴があるため、施術前に確認しておくと安心です。
| 比較項目 | ボトックスビスタ® | ナボタ® | ボツラックス® |
|---|---|---|---|
| 製造 | 米国アラガン | 韓国デウン | 韓国ヒューゲル |
| 厚労省承認 | あり(眉間・目尻) | なし | なし |
| 韓国MFDS承認 | - | あり | あり |
| 拡散範囲 | 狭め(精密注入向き) | やや広め | 広め |
| 持続期間 | 4〜6ヶ月 | 3〜5ヶ月 | 3〜4ヶ月 |
| 料金目安(人中) | ¥22,000〜¥33,000 | ¥11,000〜¥22,000 | ¥11,000〜¥16,500 |
人中のような小さな範囲・繊細な筋肉への注入では、拡散範囲の狭いボトックスビスタ®が選ばれることが多くあります。一方、コストを抑えながら効果を試したい方は韓国製を選ぶケースも多く、製剤選びは何を重視するか次第です。
拡散範囲が広すぎると:人中ボトックスでは、薬剤が周囲の口輪筋(口を閉じる筋肉)に拡散すると、発音のしづらさ・食事の際に飲み物がこぼれる・笑顔の左右差といった副作用が起こり得ます。経験豊富な医師が拡散範囲を予測しながら注入できるかどうかが、リスクを抑える分かれ目です。
過剰投与による表情の不自然化:注入量が過剰だったり、上唇挙筋への作用が強すぎる場合、笑顔時の上唇の持ち上がりが減少し、表情が硬く見える状態が起こることもあります。会議や接客などで表情の自然さが重要となる職業では特に留意したいリスクです。初回は2単位程度の少量から開始し、効果を確認した上で次回調整するアプローチが、リスク回避には有効です。効果は3〜6ヶ月で消失しますが、その期間中は表情の不自然さが残るため、慎重な単位設定が欠かせません。
ボツリヌストキシンの作用発現は注入後の時間経過に依存し、人中ボトックスでは以下のように変化していきます。エラボトックスの効果と類似しますが、対象となる筋肉が小さいため、効果が出るタイミングはやや早めです。
| 時期 | 変化 | 感じ方の例 |
|---|---|---|
| 0〜2日 | 変化なし〜軽度 | 「変わらない」 |
| 3〜7日 | 効果が出はじめる | 「上唇が少し上がった気がする」 |
| 1〜2週 | 効果増強 | 「人中が短く見える」 |
| 2〜4週 | 最大効果 | 「笑顔で歯がよく見える」 |
| 1〜3ヶ月 | 効果安定 | 「変化が日常に馴染む」 |
| 3〜6ヶ月 | 効果減弱〜消失 | 「元に戻ってきた」 |
人中ボトックスによる短縮効果は控えめで、皮膚〜筋膜レベルでの実測値として1〜2mmの人中長短縮がみられます。これは見かけの効果として上歯露出量増加(笑顔時)と組み合わさり、視覚的にも印象的な変化につながります。
| 施術 | 人中短縮幅 | 持続期間 | ダウンタイム | 料金相場 |
|---|---|---|---|---|
| 人中ボトックス | 1〜2mm(見かけ) | 3〜6ヶ月 | ほぼなし | ¥11,000〜¥33,000 |
| ヒアルロン酸(リップ上方) | 1〜3mm(見かけ) | 6〜12ヶ月 | 1〜3日 | ¥55,000〜¥110,000 |
| 人中切開術 | 3〜7mm(実測) | 永続 | 1〜2週間 | ¥220,000〜¥550,000 |
人中ボトックスの効果の出方は、もとの顔立ちや骨格によって大きく変わります。次のような条件で満足度が分かれることが多いです。
注意:ガミースマイル傾向の方が人中ボトックスを過剰注入すると、上歯露出がさらに増加し逆効果になる場合があります。ガミースマイルボトックスとの使い分けに注意してください。
人中ボトックスの持続期間は3〜6ヶ月で、再注入のタイミングは、効果が薄れてきたなと感じ始める時期が目安です。目尻ボトックスと同様、初回より2回目以降の方が持続期間が延びる傾向がみられることがあります(耐性ではなく筋萎縮による)。
| 注入回数 | 平均持続期間 | 再注入推奨時期 |
|---|---|---|
| 初回 | 3〜4ヶ月 | 3.5〜4ヶ月後 |
| 2回目 | 4〜5ヶ月 | 4〜4.5ヶ月後 |
| 3回目以降 | 5〜6ヶ月 | 5〜5.5ヶ月後 |
「人中ボトックスを受けたのに効果を感じない」という事例の原因として、次のようなものが挙げられます。
単位数を控えめにしすぎて(1〜2単位以下)、上唇挙筋への作用が足りなくなる事例。「副作用が怖い」と医師が単位数を保守的に設定した場合に起こりやすいパターンです。
上顎骨自体が前に出ている方や上唇の皮膚がかなり厚い方では、ボトックスの筋抑制だけでは改善が難しいことがあります。骨切り術や人中切開術の適応と判断される場合があります。
複数回ボトックス注入を繰り返している方では、ごく稀に中和抗体産生による効果減弱がみられることがあります。発生頻度は0.5%以下で、製剤を変えることで改善することもあります。
人中ボトックスは小さな範囲への精密な注入が求められる施術です。施術前のカウンセリングで以下の項目を押さえておくと、満足度の高い結果につながります。
30代に多いご相談:「年齢とともに上唇が薄く見え、人中が長く感じるようになった」というご相談が30代では特に多く寄せられます。この場合、人中ボトックス単独よりもヒアルロン酸(リップ)との併用で立体感を出す方が、自然な仕上がりになりやすい傾向があります。カウンセリングでは併用施術の選択肢も含めて相談しておくと安心です。
人中ボトックスは副作用が比較的軽度で安全性の高い施術ですが、以下の副作用もあります。安全性ガイドで全般的なリスク管理を確認できます。
| 副作用 | 発生頻度 | 持続期間 |
|---|---|---|
| 注入部位の腫れ・内出血 | 10〜20% | 3〜7日 |
| 上唇のしびれ感 | 5〜10% | 1〜2週 |
| 上唇のひきつり感 | 2〜5% | 1ヶ月以内 |
| 発音障害(軽度) | 1〜3% | 2〜4週 |
| 左右差 | 3〜8% | 3〜6ヶ月 |
| 上唇下垂(重度) | 0.5%以下 | 3〜6ヶ月 |
人中の見た目を整えたい場合、ボトックス単独以外にも複数の選択肢があります。それぞれの特徴を理解した上で、ご自身の状態に合う組み合わせを探っていきましょう。
| 施術 | 効果範囲 | 持続 | 料金目安 | ダウンタイム |
|---|---|---|---|---|
| 人中ボトックス | 1〜2mm(見かけ) | 3〜6ヶ月 | ¥11,000〜¥33,000 | ほぼなし |
| ヒアルロン酸(リップ上方) | 2〜3mm(立体感) | 6〜12ヶ月 | ¥55,000〜¥110,000 | 1〜3日 |
| ボトックス+ヒアルロン酸 | 3〜5mm(複合効果) | 3〜12ヶ月 | ¥66,000〜¥143,000 | 1〜3日 |
| 人中切開術 | 3〜5mm(恒久的) | 永続的 | ¥330,000〜¥770,000 | 1〜2週間 |
30代以降では、人中ボトックス単独よりもヒアルロン酸との併用を選ばれる方が増えています。理由は、加齢とともに上唇のボリュームが減少しやすく、ボトックス単独では「短くなったが薄い印象」になりやすい傾向があるためです。
長期計画の考え方:「まず人中ボトックスで効果を確認し、満足度が高ければ次回はヒアルロン酸を追加する」という段階的アプローチが現実的です。一度に複数の施術を受けると、どの施術がどの効果に寄与しているのか判断しにくくなる場合があります。1施術ずつ効果を確認しながら進める方が、長期的な満足度につながりやすい傾向があります。
恒久的な変化を希望する方は人中切開術も視野に入りますが、外科的手術であるためダウンタイムが大きく、修正が困難というデメリットがあります。まずは可逆性のあるボトックス・ヒアルロン酸で「自分に合うかどうか」を確認してから、本格的な手術を検討するという順序が現実的です。
人中の見かけ短縮幅は1〜2mmです。実測の人中長は変わらず、上唇挙上による視覚効果です。根本的な人中短縮を希望するなら人中切開術(3〜7mm短縮)が候補に入ります。
ボトックスは作用機序上、効果が永続することはなく毎回3〜6ヶ月で消失します。ただし2回目以降は持続期間が延びる傾向がみられ、これは筋萎縮(廃用性萎縮:使わない筋肉が小さくなる現象)による変化です。完全に定着させたい場合は、人中切開術という選択もあります。
注入後1〜2時間ほどで日常生活に支障はありません。ただし注入後4時間は強い力みを避け、24時間は仰向け以外の姿勢(うつ伏せ・横向き就寝)を控えることが推奨されています。口角ボトックスのダウンタイムと同等の管理が一般的です。
エラ・口角・眉間など他部位ボトックスとの同日施術は理論上可能で、実際多くのクリニックで併用されています。ただし総注入単位が50単位を超える場合は副作用リスクが上がるため、分割施術が推奨されることがあります。
注入直後の腫れ・内出血が目立つ期間(3〜7日)はマスクで隠す方が多いです。最大効果が出る2〜4週時点では特に隠す必要はありません。
注入後2〜4週で最大効果を確認し、それでも不十分な場合は追加注入またはヒアルロン酸併用が検討されます。再施術料金は¥5,500〜¥16,500が相場です。人中ボトックス完全ガイドで部位別の選択肢を確認できます。